日本七宝作家協会

第56回 日本七宝作家協会展(公募) 選評
内閣総理大臣賞  
郭 宜 瑄
Kuo Ihsuan
《 Wait upon 》
審査委員 押 元 一 敏
(東京藝術大学 准教授)
とても優しい風合いに心惹かれました。決して主張が強い作品ではありませんが、他とは違う存在感を放っていました。いくつかの具体的なアイテムが描かれていながらも物語性はなく、カーテンのようでもあり、海のようでもありといったように、捉えどころのない心象風景として想像力を掻き立ててくれます。愛と生命の源によって心が育むと作者が言うように、海から誕生する美と重ねて表現しているようにも思えました。土台となる形や丸みからも温もりを感じさせ、これが四角形や円形では違うのも納得がいきます。 気になる点としては、3点の配置のバランスが、意図的なのか不安定さを感じます。ただ恐らく1点1点が同じ作業の繰り返しではない、試行錯誤する姿勢に今後の作品にも期待していきたいです。
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文部科学大臣賞  
田 中 智 子
Tanaka Tomoko
《 深更 》
審査委員 白 幡 明
(公益社団法人日本工芸会 正会員 ガラス工芸作家)
七宝の作品としては大振りである。 外側、全体が濃い赤色の釉薬、そこにポインセチアを植線で表現、鉢の内側をのぞいて見ると、そこにはポインセチアがこれでもかと云っている様に埋めつくし 葉脈をそれぞれ細かく現わし、外との対比に驚かされる。この大きな鉢の内外を研ぐ労力は大変なものであったろうと推察される。夜遅くまで作業した意味をこめ「深更」となったそうである。労作であり、秀作ともなった。
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造幣局理事長賞  
飯 髙 瑞 子
Iidaka Mizuko
《 遊-どんぐりの森に 》
審査委員 沢 田 均
(金属七宝造形作家)
ほの暗く静寂なクヌギ林で戯れるリス達。この光景は平和で豊かな森のひとときを想像させてくれます。一本の大木のように見える作品には、地金の赤が優しさと奥行きを生み出しているとも言えます。 有線七宝の熟考された表現や、絞り込まれた配色にも作者の技術の高さを感じます。
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審査員特別賞  
山 添 恵 茉
Yamazoe Ema
《 king's childhood 》
審査委員  相 武 常 雄
(公益社団法人 日展会員 金工作家)
今回4名の外部審査員の一人として審査にあたった。七宝というと金属板に釉薬を盛り焼成し、研ぎ出し完成度を高めることが多いが、「king's childhood」は七宝の技法としてはむつかしい撚った細い銅線を編み込み、七宝をほどこした試みに注目し評価した。若者らしいむつかしさに正面から挑戦する姿勢に好感を覚え、期待とエールを送ります。この先、どの様に発展させていくか楽しみであります。
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